NVPとは

弊社でLAN工事をした際に、お客様へお渡しするケーブルテストのリザルトの項目で「NVP」という数値があり、その数値が68%前後の数値になるのですが、お客様がその数値を見た時に何となく不安になる数値だなと(勝手に)感じたので、その数値の意味を解説してみたいと思います。

パッと見、最優秀選手賞的に見えて、「N」なのでNiban、つまり二番目に優秀とかなんとか・・・。

結論

ネットワーク用語の「NVP」とは、「Nominal Velocity of Propagation」の略で、日本語では「標準伝搬速度」と呼ばれ、これはケーブル内を信号が伝搬する速度を、真空中の光速に対する比率で表したもので、「NVP」はネットワーク設計やケーブルの性能評価において重要な指標となります。

ケーブルのメーカーやカテゴリによってこの値は変わるのでケーブルメーカーに聞いたりケーブルの諸元表で確認し、「NVPの値」をテスターに設定して、適正なケーブルテストを行います。

NVPの詳細な解説

以下、AIと私のコラボライティングです。

定義

  • NVP(Nominal Velocity of Propagation)は、ケーブル内の電気信号の伝搬速度を示します。これは、信号がケーブル内を移動する速さが、真空中の光速と比較してどれだけの割合であるかを示す比率です。

計算式

  • NVPは次のように計算されます

    NVP = 信号の伝搬速度 / 真空中の光速
  • ここで、真空中の光速は約299,792,458メートル毎秒(約30万キロメートル毎秒)です。
  • NVP値が0.68の場合の信号の速度はおよそ204,000キロメートル毎秒

典型的なNVP値

  • 一般的なケーブルのNVP値は約0.6から0.9の範囲にあります。これは、信号がケーブル内を真空中の光速の60%から90%の速さで伝搬することを意味します。
  • 例:NVPが0.7であれば、ケーブル内の信号の伝搬速度は真空中の光速の70%ということになります。

ケーブルの種類によるNVPの違い

  • ツイストペアケーブル(例えばCat 5eやCat 6)のNVPは一般的に0.65から0.70の範囲です。
  • 同軸ケーブルのNVPは0.85から0.90の範囲になることが多いです。
  • 光ファイバーケーブルはNVPの概念が適用されませんが、光の屈折率によって速度が決まります。

ちなみに弊社が長年携わっている光ファイバーの場合、NVPと同じ意味合いの数値は「群屈折率」といい、1.47前後の数値が使われます。NVPは数値が「1以下」で群屈折率は「1以上」ですが、計算式が逆になっただけで同じ意味の数値になります。

群屈折率 = 真空中の光速 / 信号の伝搬速度

NVP = 信号の伝搬速度 / 真空中の光速

群屈折率が1.468の場合の信号の速度はおよそ204,360km/sと先ほどのNVPの値で計算した値より多少早いですが、この群屈折率1.468の光ファイバーを使った信号と、NVP68%の銅線(UTP=LANケーブル)を使った電気信号の伝搬速度は、ほぼ同じと考えてもいいのではないでしょうか。

NVPの用途

  • ケーブルの長さの測定:NVPを使用して、タイムドメイン反射計(TDR)などのツールでケーブルの長さや故障箇所を正確に特定することができます。
  • 信号遅延の計算:NVPを知ることで、ネットワーク設計において信号の遅延時間を計算し、適切な配線計画を立てることができます。

まとめ

NVP(Nominal Velocity of Propagation)は、ケーブル内を伝搬する電気信号の速度を真空中の光速に対する比率で表したものであり、ケーブルの性能評価やネットワーク設計において重要な役割を果たします。信号の伝搬速度がケーブルの種類や設計によって異なるため、正確なNVP値を把握することは、正確なネットワーク設計やトラブルシューティングに不可欠です。